執事と羊
「お待たせ。」
「いいえ。では、行きましょうか?」
「はい。
あっ、宝井さんはいつお風呂に入ってるの?」
「私ですか?
私は美優お嬢様がお眠りについた頃くらいです。
主人よりも早く入るということは
できないので.....。」
苦笑いをする宝井さん。
大変ねぇ.....
大変なのに、辞めたいと
思ったことはないのかな?
あたしだったら、すぐに辞めてそう。
「なんで、執事をやってるの?」
「それが、私の手段ですから。」
「手段?」
「はい。
ある人に少しでも一緒にいられる
仕事が執事だったので。」
「ふーん。
その人は近くにいるの?」
「ふっ、お嬢様?
私の詮索するより、ご自分の課題をなさったらどうですか?
終わらなくなりますよ?」
嫌味な笑顔を向けられ
何も言えなくなってしまった。