執事と羊
「宝井さんって.....
あの龍夜さん?」
「はい、そうでございます。
執事の間柄、母の旧姓を使っております。」
そうだったのか......
初めて聞いた。
「そう.......。
まぁ、いいわ」
お母さんは意味深な顔をして
話を流した。
「ところで、何の話をしていたの?
随分と楽しそうだったけれど.....」
「来月のダンスパーティーのこと。
宝井さんにダンスを教えてもらうの。」
「あら、素敵ねぇ〜
私とお父さんもダンスしたわね〜
今はもう踊れないけどね?」
へぇ....お母さん達にも
そんな時代があったんだ。
「宝井さんっておいくつなの?」
「24でございます。」
「なら、まだまだ若いのね?」