精神安定剤

明海と加賀屋はほとんどの時間一緒に過ごしていたが、明美は、少しでも一人の時間が出来ると、最後の犯罪、阿部に対する殺人計画を念入りに立てた。



今回は、一人でいるときの本当に数回しかないチャンスを無駄にしてはいけないのだから、場当たり的な、犯行ではなく、計画を立てなければ、成功しないとわかっていたのだ。



そんな計画を立てているなんて思ってもいない加賀屋だったが、最近、自分の目を盗んでは何かを考えている、明海の姿は、何度も目撃し、様子がおかしいことは気付いていた。



そんな姿を見るたび、加賀屋は、また何かが起きるのではないかと、不安に駆られていた。



その不安は、現実のものとなった。