精神安定剤
9月30日、最後の事件は遂におきようとしていた。
 


その日は、明海は、日勤で、加賀屋は夜勤だった。



阿部が、休日だということは、昼間明海は、電話で会社のほうに確認していた。



そして阿部が、休日の日には必ず、ほぼ同じ時間に、少し離れたコンビニに行くこと、その途中に、人通りの少ない道を通らなければ、行けない事など、確認済みだった。



都合が良いことに阿部は、八王子の北野町に住んでいた。
 


午前九時、明海は、最後の犯罪をするために、家を出た。



現場は、明海の家から、歩いて、一時間ほどのところの、北野下水処理場のそばの、鉄橋の下だった。



そこまで、明海は、バスも電車もタクシーも使わず、歩いていった。
< 21 / 28 >

この作品をシェア

pagetop