精神安定剤
午後九時をまわり、明海が上下黒の洋服で、部屋から出てきた。



そんな姿を見て加賀屋は、つばをごくりと飲みこんだ。



そして、加賀屋と佐野の明海への尾行が始まったのだ。
 



明海の歩くペースは、ウォーキングを楽しむような、ペースだったので、尾行はしやすかった。



また、バスなどの交通手段を使わなかったことも、尾行をする側として好都合だった。
 



約1時間くらい歩いたところで、明海は突然足を止め、前から歩いてくる人影を凝視していた。



そんな、明海の様子を見ながら佐野は、
 

「今、北野の下水処理場側の鉄橋の下辺りです。


本間が足を止めました。」


と木村に連絡を入れた。
 


「わかった、とりあえずそっちに応援を行かせる。」
 


事件はまだ、おきてはいなかったが、木村は嫌な予感がして、落ち着かなかったので、出来ることは先にやろうと、応援を手配したのだ。
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