ネットワークライダー『ザイン』
突如閃光とサイレンを伴ってバックルが瀬戸の手中に現れた。
シュルルルルッ
そのバックルからベルトが伸びて腰の周りにはまると、『ザイン。レディ・トゥ・メタモルフォーゼ』機械音声でアナウンスが流れる。
「ザイン? このウイルス装甲の名前か? ……なんでもいい。とにかく変身しなければ殺られてしまう」
ヒュンヒュンヒュンヒュン
瀬戸が漏らした『変身』の言葉を受けてバックルから風切り音が鳴り出した。それに併せて光のベールが身体を包み込み、突進してきた魚を跳ね返した。
「キーワードだ。ええと……起動せよから変えたあれは……れ、レッツ·ブートアップ(起動)だったかな」
キーワード2をバックルが認識すると、瀬戸の体表が一瞬にして光を発するガラスのようなもので覆われる。
パリィイン
すると間もなくガラスは割れて弾け飛び、その破片で最前列の魚が消滅した。
「うぉっ、なんだ? 全身に力がみなぎっているぞ」
そして煙の中から現れたのは、ウィルス装甲ソフトをまとった瀬戸だった。
「これならこいつらにも勝てそうだ。ハッ!」
ビジジィッ!
瀬戸は襲ってきた魚に正拳突きを喰らわす。スパーク音と共にそれは消滅した。
「凄い。これは凄いぞ! はっ、はっ!」
ビジッ! ビジジィッ
後から後から降って涌いたように現れる魚の群れを、瀬戸は次々と消滅させていく。だが殺人魚の数は一向に減っていかない。
「クソッ、これではキリが無いな。武器は無いのか?」
ベルトをまさぐるとそこに短剣が現れた。
『ザイン・クリィティカル・ダガー』
またバックルからアナウンスが流れる。
「短剣じゃ使える範囲もたかが知れている。何か他の物は無いのか?」
『ザイン・アルティメイト・ショット』
「これだ」瀬戸がそれを取り出そうとすると『ザイン・パーフェクトリィ・ボム』とアナウンス。彼が手にしていたのは手榴弾のような構造の爆弾だった。
「さっきのやつが良かったんだがまあいい。こいつをお見舞いしてやる」
ピキンッ
信管を作動させるピンを抜き、レバーを握ると瀬戸は魚の群れの中心にそれを放り投げた。
チュドォォォォン!! ジビィ ジビビビィィィ!
群れの中心での爆発に周りの魚達も次々と誘爆を引き起こし、あっという間に魚の群れを全滅させていた。