ペネトレイト・エンジェル

第三話『炎の七日間』

 カツカツカツカツカツカツカツ…

 基地の廊下に硬質な音が響く。


 ムツキは『ついて来い』と言われるままに、フレイヤの後をついて行く。

「ハバノ軍曹」

「ハッ!」

 フレイヤの呼びかけにムツキの心臓が『ドクン』と高鳴る。


(さっきから、心臓が不整脈しっぱなしだよ…)

 ムツキは居心地の悪さに耐えながら、フレイヤの言葉を待った。

「軍曹は私の乗る『ナイト・ヴァルキリー』の欠点を知っているか?」


「いえ!、存じません!」

 フレイヤの問いに、ムツキは正直に答えた。

 知らないのが当たり前の事であるし、一回の戦闘を見ただけで機体スペックが分かるほど詳しくもない。

(…にしても、案外小柄だな)


「KVはKTよりも高出力な武装を使用する事を前提にした、新設計機だ…」


 ムツキがフレイヤの事を観察している間にも、フレイヤはKVについて説明を始めた。
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