ペネトレイト・エンジェル
「軍曹、ここの料理は素朴だが良い味をしているな…」


 ムツキは『チラ』と厨房の方を見た、厨房にはヒョロリと背の高い男が一心に野菜を刻んでいるのが見えた。


「今日の当番はナカヤマ曹長ですから、ナカヤマ曹長は実家がレストランで店を継ぐのが嫌で軍に入った…と以前言っていました」


 ムツキは『食事は当番制なので、いつも美味しいとは限らない』と付け加えながら説明した。


「ムツキ軍曹も料理はするのか?」


「はい、…簡単な料理しかできませんが」


「そうか」


 食事をしながら話をしている内に、ムツキはある事に気付いた。


 いつの間にか『ハバノ軍曹』から『ムツキ軍曹』に呼び方が変わっている。


(あれ、いつからだ…?)


 ムツキが疑問に思った時、ちょうど食事が終わった為『では、失礼します』とムツキは自室に戻ろうとしたのだが…。


「待て、ムツキ軍曹に話しがある」

 と、フレイヤに呼びとめられてしまった。
< 60 / 65 >

この作品をシェア

pagetop