ペネトレイト・エンジェル
(こらこら、せめて『お兄ちゃん』と呼べ…て、そーゆーことじゃなくて!)


 上官であるフレイヤに反論すべきか悩むも、おそらくは受付てくれないであろうと判断したムツキは、別の方向に考えをめぐらせた。


 そうこうしている内に自室につくと、ムツキはフレイヤが口を挟む間も無い勢いで言った。


「では大尉殿狭いですがこちらにシャワールームがありますあとベッドは大尉殿が使用してください自分は所用があるため少しの間すみませんが席を外します失礼します」


 一気にまくし立てると『ビシッ!』と敬礼してムツキは部屋を出た。


 部屋には、少々呆気に取られたフレイヤと、特に事情を気にしないシシマルが『ポツン』と残された。


「…ふむ、お前の主人は変わっているな」


 そうシシマルに話し掛けるも、人語を解さないであろうリッキーは…。


「ミャアウー?」

 …と、後ろ脚で首をかくだけだった。
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