からんころん
見ると店内には実果子と晴紀だけだった。
食べ残すのが嫌いな2人は大急ぎで食べ終えた。
「ごめんね、ばあちゃん。ゆっくりしすぎちゃって」
「いいんだけどね、若い娘さんをいつまでも引っ張り出してちゃねぇ」
「そっか。ごめんね実果子ちゃん。全然気がつかなくて…」
「いえ、私はべつに、そんな大した娘さんじゃないんで」
「ばあちゃん、もうひとつごめん!トイレ貸して!?」
「そんなもん、とっとと行っといれ。なんちって」
「……じゃこれ2人分ね!」
晴紀は1万円札をおばあちゃんに差し出した。
「あ、私自分の分は払いますから!」
「いいから!実果子ちゃんおつりもらっといてね!」
晴紀はトイレへ駆け込んでいった。
「あわてんぼうだねぇ。…あら、おつり細かいのがないわ、どうしましょう」
「じゃ私が……」
と、自分の財布の中を覗いた実果子だけど………500円も入っておらず、自分の分すら払えない状況だったのだ。
「…すみません」
「気が利かないねぇ、もういいわ。若、あんた細かいの持ってないの?立て替えといてよ」
実果子はビクッとした。