からんころん
陰謀
いつも優しいおばあちゃんらしからぬキツい言い方に…
「お待たせ。夜道は危ないから車で送るよ」
「…………」
「…実果子ちゃん、どうかした?」
「え?ああ…なんでもないです、あ、これおつりです」
「うん………?」
実果子はぼんやりしていた。
どうも、さっきのおばあちゃんの対応が引っかかっている…。
「実果子ちゃん…ありがとな」
「え?」
「俺嬉しかった。実果子ちゃんが俺のために泣いたり怒ったりしてくれて」
「あ…、いやぁ…」
「それに…話したらもしかしたら軽蔑されるかもしれないって思ったり…」
「なんで?お兄さんは何も悪くないじゃないですか!軽蔑なんてしません!…私も昔からいじめられっこだったからわかるんです…」
「そっか…」
「お兄さん、黒着てください!」
「え…」
「お兄さんはやっぱり黒が似合うと思います!」
「…そぉ?いや、本当のこと言うと他の色はちょっと違和感あってさ、ここんとこ落ち着かないんだ」
「大事なのは色じゃなくて気持ちです。無理しないで、気が向いたら他の色も身に付けたらいいじゃないですか!…ってなんか偉そうにすみません…」
「本当だよ…」
「え…」