からんころん
「だってあの人ドロボーだよ!」
「…実果子ちゃん盗ってないと思う」
「盗ったって自分で言ってたじゃん!」
「千夏、目ぇ覚ましな!」
「一応忠告したからね!じゃあね!」
千夏は、学校でも同じクラスの女子にそう言われていた。
実果子はそれを、聞いていた。
「千夏ちゃん…」
「実果子ちゃん!…ねぇ、一緒に帰ろ!」
「千夏ちゃん、もう私大丈夫だから…」
「え?」
「あの人たちが言うように、私のことがばうと千夏ちゃんまで睨まれちゃうよ」
「そんなの気にしないもん。私卑怯なこと大嫌い!…それとも実果子ちゃん、私のこと迷惑?」
「まさか!私は…嬉しいんだよ。実は前から千夏ちゃんと友達になりたいって思ってた…」
「…実果ちゃん」
「だから千夏ちゃん助けてくれて嬉しかっ……」
つらさと嬉しさと照れくささと不安と…
いろんな感情が込み上げてきて、実果子は泣き出した。
「実果ちゃあん…」
千夏も泣き、実果子を抱きしめた。
こうして2人は友情を育んでいった。
かのように思えた。