からんころん
「え……うん」
実果子は1人、店をあとにした。
千夏とはろくに話してないし…
今日は一体何だったのかわからなくなっていた。
「私何しに来たんだろ?奥の部屋でも長い時間寂しかったしさぁ…」
「何ブツブツ言ってんの?独り言は老化の始まりだぞ」
「はぁ?…誰かと思えば誠也くん!」
「よぅ。じゃーな!」
「あちょっと!今から私と遊ばない!?」
「だめ。俺忙しいもん」
誠也は竜巻のように現れ、去っていった。
「…私だって忙しいもん。もう……帰って勉強しよっ!」
出かける時はルンルンだった実果子だけど、帰りは寂しさを誤魔化す始末だった。
数日後の家庭教師の日、
「はぁ…」
晴紀はやたらため息をついていた。
「…どうしたんですか?」
「え、何が?」
「今日、ため息多いなぁと思って…」
「…そ?いや、べつに何でもないよ」
「そうですか…」
「はぁ……あ、これか、ごめん」
「…大丈夫ですか?」
「う、うん。大丈夫!」
明らかにそうは見えなかった。