からんころん

「え……うん」



実果子は1人、店をあとにした。



千夏とはろくに話してないし…



今日は一体何だったのかわからなくなっていた。




「私何しに来たんだろ?奥の部屋でも長い時間寂しかったしさぁ…」

「何ブツブツ言ってんの?独り言は老化の始まりだぞ」

「はぁ?…誰かと思えば誠也くん!」

「よぅ。じゃーな!」

「あちょっと!今から私と遊ばない!?」

「だめ。俺忙しいもん」



誠也は竜巻のように現れ、去っていった。



「…私だって忙しいもん。もう……帰って勉強しよっ!」



出かける時はルンルンだった実果子だけど、帰りは寂しさを誤魔化す始末だった。









数日後の家庭教師の日、



「はぁ…」



晴紀はやたらため息をついていた。



「…どうしたんですか?」

「え、何が?」

「今日、ため息多いなぁと思って…」

「…そ?いや、べつに何でもないよ」

「そうですか…」

「はぁ……あ、これか、ごめん」

「…大丈夫ですか?」

「う、うん。大丈夫!」



明らかにそうは見えなかった。




< 110 / 227 >

この作品をシェア

pagetop