からんころん
誠也は、実果子が持ってきた差し入れの酢豚を取り上げ、さっさと食べ始めた。
「もしかしてこれ、あんたが作ったの?」
「ひどい…それお兄さんに作ってきたのよ!具合悪いっていうから元気出るかなって思って…」
「な…何も泣くことないだろ…!」
「泣いてなんかない!もぉ~」
「お、おいっ、やめろっ…」
実果子は近くにあったクッションで、誠也をバフバフ叩いた。
「…何してんの?」
「お兄さん!」
「おぅ晴さんおかえり!」
「ただいま。実果子ちゃんいらっしゃい。どうしたの?その格好」
「晴さん、助けてくれ~」
「なんでもないんですっ!お兄さん具合はどうですか!?」
「ああ……もう大丈夫だよ」
「そうですか!よかった」
「昨日はごめんな、行けなくて…」
「仕方ないですよ!」
「これ晴さんのためにこいつが作ってきたんだってよ」
誠也が、少なくなった酢豚を晴紀に差し出す。
「ええ?感激だな。いただきます」
「あ…味は自信ないけど、お兄さん元気出たらいいなと思って…」
「うん、うまい。すげぇ元気出そう。ありがとう実果子ちゃん」
「はは、はは…じゃ私はこれで…」