からんころん

「あ…帰ります。さよなら…」



実果子は静かに晴紀の部屋をあとにした。



昨日の電話を聞いていた晴紀は、実果子がどうしてあんなことを言い出したのか、わかっていた。
けれど、あれは妹千夏の嘘だったことを言えず、実果子をあっさり見放してしまう形になり…



「くそっ……」



追いかけることもできず、悔しさでいっぱいになっていた。










「……なんでついてくんの?」

「え?ちょっと…さんぽだよ」



誠也は実果子の後を追っていた。


その後、2人は延々と歩く…





「あのなぁ…」

「何よ…?」

「酢豚…うまかったぞ」

「……そう」


「あのなぁ…」

「…何!?」

「いいのかよ?」

「何が」

「大学、本当にもうどうでもいいのかよ?」



実果子は急に立ち止まった。



「いいわけ…ないじゃないよっ!どうして私あんなこと言っちゃったの!?」



頭をかかえる実果子の前に誠也が立ちはだかる。



「…な、何よ?」



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