からんころん
実果子へのいじめが始まってから1ヶ月が過ぎた。
相変わらずの罵声や物隠し、陰口が続いていた。
つらいけれど、実果子は休むことなく塾へ通っている。
実果子には強い味方がいるから…
どんな攻撃にも耐えることができた。
でも、千夏が休んだ日は…
それをいいことにクラスメイトは実果子に、よりいっそうの攻撃をする。
事はいつも帰り際に起こる。
講師に気づかれないように。
ーガタガタガタ…
「ごめーん、ちょっと邪魔!」
実果子は押しとばされた。
「オバサンは家でのんびり茶でも飲んでろよ」
「はははははは!」
実果子のバッグからはみ出た中身を踏み散らかして、クラスメイトは嘲笑いながら帰っていった。
…こんなとき、いつもなら千夏がかばってくれる。
優しく手を貸してくれる…。
実果子はそれを思い出し、ひとりで立ち上がり、散らばったものを片付けた。
「…こんなこと、気にしない!!ああああああ!!!」
実果子は叫び、気合いを入れた。
その時、教室の外で影が動いた。