からんころん
「何言ってんの、入れよ」
「じゃー…こいつも」
誠也が手招きし、外から実果子が恐る恐る顔を見せた。
「実果子ちゃん」
「ど…どうも……」
「おかえり。2人とも早く入れ。寒いだろ」
晴紀は快く2人を迎え入れた。
「あのお兄さん、昼間はごめんなさい!私あれ…」
「わかってる。俺もごめん」
「お兄さんは何も…」
「お兄ちゃん見て!こういうのさゆりちゃんに似合いそう…あ」
来客は、千夏と…晴紀のお見合い相手さゆりだった。
「なになに、どういうことぉ?今日こんな時間にカテキョもないよね?しかもなんで高田くんまでいるの?」
「あ…やっぱり私帰ります!」
「なんでだよっ!」
「実果子ちゃん、お茶くらい飲んでから…ね」
晴紀と誠也、2人に引き止められる実果子。
「実果子ちゃん…モテモテだねぇ」
千夏がからかったように言う。
なんだか気まずい空気が流れた。
「…俺、お茶入れる!」
「なんで高田くんがお茶入れるの?ここお兄ちゃんちだよ?」