からんころん

「何言ってんの、入れよ」

「じゃー…こいつも」



誠也が手招きし、外から実果子が恐る恐る顔を見せた。



「実果子ちゃん」

「ど…どうも……」

「おかえり。2人とも早く入れ。寒いだろ」



晴紀は快く2人を迎え入れた。



「あのお兄さん、昼間はごめんなさい!私あれ…」

「わかってる。俺もごめん」

「お兄さんは何も…」

「お兄ちゃん見て!こういうのさゆりちゃんに似合いそう…あ」



来客は、千夏と…晴紀のお見合い相手さゆりだった。



「なになに、どういうことぉ?今日こんな時間にカテキョもないよね?しかもなんで高田くんまでいるの?」

「あ…やっぱり私帰ります!」

「なんでだよっ!」

「実果子ちゃん、お茶くらい飲んでから…ね」



晴紀と誠也、2人に引き止められる実果子。



「実果子ちゃん…モテモテだねぇ」



千夏がからかったように言う。
なんだか気まずい空気が流れた。



「…俺、お茶入れる!」

「なんで高田くんがお茶入れるの?ここお兄ちゃんちだよ?」



< 120 / 227 >

この作品をシェア

pagetop