からんころん
おばあちゃんにすがりたかった実果子だけど、おばあちゃんは他のお客と楽しげに話している。
割り込むことはできなかった。
「そりゃ大変だったっすね…そこの駐在に言った方がいいかもしんないっすね」
「そう…ですね。すみません…」
若もそれ以上は取り合わずに仕事に戻り、実果子は心細く店をあとにした。
「そんなことがあったの!?」
週末、このことを晴紀に話した。
「電話してくれたらすっとんでったのに…」
「ケータイも盗られちゃったんで…」
「そうか…。ばあちゃんとこに助け求めたらよかったのに」
「行きました…」
「よかった。じゃあばあちゃんに助けてもらえ…」
「…………」
「…なかったの?」
「なんか…おばあちゃん最近へんなんです…」
「へん…?」
「なんか…私に冷たいというか…」
「ええ?気のせいじゃ…」
「私…何か悪いことしたのかな……」
本気で思い悩んだ様子の実果子を見て、晴紀は、冗談や軽はずみではないと思った。
「わかった。それとなくばあちゃんに伺ってみるよ」