からんころん
「えっ、いいですよ!そんな……」
「ん?大丈夫だよ、悪いようにはしないから」
実は晴紀自身も、ここのところおばあちゃんの態度に少しぎこちなさを感じていたのだ…
「…私の顔に何かついてるかい?」
「いや…。何もついてない」
「じゃあ…みとれてたのかい?やだねぇ、ばあちゃんに惚れたってだめよ~」
「…………」
ここまではいつもと変わらないユニークなおばあちゃんだった。
「最近どうよ?景気は」
「景気?世の中の厳しい波にしっかり乗ってるよ。でもま、なんとかやってけてるからねぇ」
「じいちゃんとは仲良くやってるの?」
「あの人はねぇ、釣りばかりだよ。少しは店手伝ってくれたらいいのにねぇ。でもま、おいしい魚釣ってきてくれた時は尊敬しちまうけどねぇ」
プライベートもそれなりに充実しているようだ。
「…ばあちゃん、結婚してよかった?」
「…どうだかねぇ。ばあちゃんくらいになるともう空気みたいなもんだからねぇ。なきゃだめだからよかったんじゃないかねぇ。晴紀ちゃんもさゆりちゃんとのこと真剣に考えないとねぇ」