からんころん
「…なんで俺にあの人紹介したの?」
「良い娘だからに決まってるじゃないか。近所でも評判だよ」
「ばあちゃん…俺の気持ち悟ってたんじゃなかったの?」
「……………」
おばあちゃんは、急に黙り込んだ。
「…さゆりちゃんは良い娘だよ。あの娘にしちゃいなさい」
はぐらかすおばあちゃん。
「ばあちゃん!」
「ばあちゃんね、あの娘はやめといた方がいいと思うな」
実果子のことだ。
「…なんで?」
「なんでもだよっ!」
おばあちゃんは、今度は急に怒鳴りだした。
こんな姿を見たのは晴紀も初めてだった。
「ばあちゃん…」
「……ごめんよ、怒鳴ったりして。でもだめなんだよ…。何も言わずにさゆりちゃんにしなさい」
「…そんなの横暴だよ」
晴紀はいたたまれず店を出た。
「お待ちどう!…あれ?そば…」
「私が食うからいいよ」
腑に落ちなかった。あんなのはばあちゃんじゃない。
この日はそばも食べずに帰った晴紀だけど、何か裏がある…と、絶対それを突き止めようと思っていた。
「で、あれから毎日のようにそば食いに行ってんだ」