からんころん
ーー誰かいる!?
実果子はそっと戸を開き、見てみた。
「あ…」
「…な、なんだよ!」
そこにいたのは、誠也だった。
「俺は…忘れ物を取りに…」
また何か言ってくる!と思い、実果子は身構えた。
「……バカじゃねぇの?」
それだけ言って、さっさと帰っていった。
実果子の心臓はバクバクだった。
ホッとして、ひとり残った実果子も帰ることにした。
「はぁ。疲れた…あー…まじっすか…」
外へ出ると、雨が降っていた。
実果子は傘を持ってきていなかった…。
どしゃ降りだったので、中で止むのを待とうとしたけれど…
もう閉めるからと追い出された。
講師までも実果子に冷たかった。
屋根の下でしばらく待ったが、バスの時間に気づき、仕方なく実果子は雨に濡れて走った。
バス停まであともう少し…
バスは既に来ていて、発進するばかりだった。
「待って!!私も乗せてっ…」
そんな実果子の声も届かず、バスは行ってしまった。
「はぁ、はぁ…、なんで私っていつもこうなの…」