からんころん
実果子は席を立ち、恐る恐る厨房へ向かう。
「あの、私も同じので…」
「はい。同じので」
おばあちゃんに言ったのだけど、受け答えたのは若だった。
その様子を、晴紀はずっと見ていた。
「…シカトだったね」
「…おばあちゃんは何かしてたから」
「なんでかなぁ…?」
何かしてても晴紀が知ってるおばあちゃんはちゃんと振り向いてくれる人だった。
晴紀は首を傾げている。
「お待ちどうさま、晴紀さん」
「あ…?」
晴紀にそばを持ってきたのはさゆりだった。
「今日から働いてくれることになったんだよ」
「え、だってさゆりさん会社勤め…」
「辞めました!」
「はぁっ!?」
さゆりはにっこりあっさり言う。
「最近晴紀ちゃんよく来てくれるでしょ。だから私が呼んだのよ」
落胆する晴紀…。
「誠也くん、ちょっと」
「ん?」
おばあちゃんが誠也に手招きし、何かコソコソ話している。
「何考えてんだよみんな…」
「晴さんごめん。俺用思い出した」
戻ってきた誠也が急にそう言う。