からんころん
崩れ始めるおと

「ん…何だい?」

「俺さゆりさんと結婚する気は全くないから」



晴紀はハッキリ強い口調で言った。



「…そんなことを言いにこんな朝早く…」

「…あの人にも直接言ったんだけど全然わかってくれなくて…」

「なんで」

「え?」

「なんであんな良い娘を逃がすんだい!?」



ばあちゃんの口調が荒くなる。



「じゃ聞くけど、…なんでばあちゃん、そんなに勧めるの?良い娘だからとかそういうことじゃなくて、何かあるんじゃない?」

「何…って、そんなもんあるか!」

「嘘だ。最近のばあちゃんは、ばあちゃんじゃない」

「はは?おかしなことを言うね、この子は」

「ばあちゃんは俺の気持ちを大事にしてくれる人だった」

「…気持ちなんて、変わるものだよ。さゆりちゃんとの接触を増やせば晴紀ちゃんの気持ちも傾くかもしれんよ」

「だからなんで!?今の気持ちへし曲げてまでなんでそっち行かないといけないの?強制しようとすんの!?理解できない…」

「あんたが…あの女から離れるようにだよ!」

「あの女…って、なんでそういう言い方…ばあちゃん最近実果子ちゃんに冷たいよな。実果子ちゃん気にしてたぞ」



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