からんころん
実果子は息を切らしぼやいていると…
1台の車に照らされた。
「何!?まぶしいじゃない!」
いろんなことが頭にきて気が立っていた実果子は、その車に文句を言った。
どうせ雨音で聞こえないだろう。
…なんて安易に思っていた。
すると車から運転手が降りてきた。
「ひっ…」
実果子は恐くなって逃げた。
「おい!」
あろうことか、その人は雨の中実果子を追いかけた。
「うそでしょぉ~!?」
実果子は必死で逃げた。
…けれど、捕まった。
「ごっごめんなさい!ごめんなさい!」
恐くて、実果子はただひたすら謝った。
「実果子ちゃん、俺だよ!」
ーー俺?
実果子はゆっくり目を開けた。
この真っ黒ないでたち…
「…千夏ちゃんの!」
「そう、覚えててくれた?うれしいな」
千夏の兄だった。
実果子はホッとして腰を抜かした。
「おいっ、大丈夫か!?立てる?」