からんころん
「知らん」
軽くずっこける晴紀。
「知らないけど実果子のせいじゃねぇと思う。財布事件の、実果子と仲良くなる前からあいつは病んでたんじゃねーか?と俺は思うが…」
意外と深かった誠也の真面目な意見に、晴紀は考え込む。
そして実果子も…
もしそうだとしたら、安易に憧れだとか言うだけで、千夏の内に秘めた苦しみをわかってあげられなかった…と自分を責めた。
「完成!」
「なんだ色戻っちまったの?サルみたいで面白かったのに」
「面白いって…人の頭を笑いのツボにしないでよね!」
「長さはしょうがないね…。寒いからニット帽あげようか。黒しかないけど」
晴紀は自分のニット帽を持ってきて実果子にかぶせた。
「ありがとうございます。…でも千夏ちゃん傷つかないかな…」
「俺が無理やりしたって言えばいいよ。あいつ単純だから何も考えやしない………」
そういうイメージをこっちが勝手に作ってただけなのか…?と、晴紀はふと思った。
「晴さん…もしかして俺がさっき言ったこと真に受けてる?」