からんころん

晴紀は近づいて、後ろから千夏にマフラーを巻いた。



「きゃあっちかんっ!!」

「ばっ…俺だよ!」

「あ?」

「…こんな時間にどこに行くんですか、お嬢さん」

「お兄ちゃんには関係な~い」

「…おい、風邪ひくぞ」

「私のことはほっといて~」



鼻歌調に言い、また歩き出す千夏。
晴紀は千夏の腕をひき、



「帰るぞ!」

「もう、なによぉ?」



ふにゃふにゃしている千夏を車に乗せた。



「何考えてんだよ?おまえ…」

「なーんも考えてないよぅ。アタマを無にして歩きたい時もあんのよ、おにーちゃん!」

「…おまえ何か飲んだ?」

「飲んでなーい…喉カラカラ…」



千夏から、若干アルコールの臭いがした。



「まったく…」



晴紀は自販機を探す。



「あったあった。水飲むだろ……」



横を見ると、千夏はぐっすり眠っていた。







「大丈夫。ちょっと道に迷ったみたいでさ。……うん。それが疲れて眠っちゃって。今夜はうちであずかるよ。……うん。もう安心して寝て。……はーい」



< 147 / 227 >

この作品をシェア

pagetop