からんころん
このまま連れて帰っても、高校生の娘がアルコールの臭いさせてたら親を泣かすだけだと思い、晴紀は自分のところへ千夏を運んだ。
「なんで………」
晴紀は気が立ち、一睡も出来ずにいた。
「ふわぁ~…おっ、晴さん今日早いっすね」
「…寝てないんだよ。パン食って行くか?焼きたてだぞ」
「食ってく!腹へった~……うわぁっ!!」
そこに千夏がぼんやり立っていて、誠也はひっくり返るほどびっくりした。
「…千夏、トイレか?」
「~~~…」
千夏はぼんやりしたまま寝床に戻った。
「な、な、なんであいつが…?」
「ちょっと色々あって…。千夏、ああやって寝ぼけて起きてくる癖があるんだ…」
「へぇ~……。俺…もう行くわ」
「パンは?」
「あ…食いながら行く」
誠也は新聞配達のバイトへ出かけていった。
夜が明けて、千夏は目覚めた。
「あれ~?お兄ちゃん帰ってきてたんだぁ」
「あほ。ここは俺んちだ」