からんころん
「え?…そういえばそうだったね。ははは、ごめんねぇ。じゃ私帰る~」
晴紀はドアの前立ちはだかる。
「朝メシ食っていけよ。ちょっと話もしたいし」
「お説教なら遠慮しとく~」
すり抜けようとする千夏。
けど、晴紀にあっさり捕まえられる。
「ほい」
「…もうお兄ちゃんのパン飽きた」
「飽きるほど食わした覚えはないぞ。食いたくなければ食わなくていい」
「何イライラしてんのぉ?」
「どっちがだよ…、俺は落ち着いている」
話は平行線で、千夏は文句を言いながらもパンを食べている。
「そういえば!今日はあの劣等生はいないね。出ていったの?」
「そういう言い方すんな。誠也は劣等生なんかじゃない。千夏…おまえ変だぞ」
「何が?お兄ちゃん、これ焼きすぎじゃない?」
「…………」
その頃誠也はバイトを終え、玄関の前まで帰ってきてたけれど、千夏がいると思うと中に入りづらくて再び歩き出した。