からんころん

「あ…私が勝手に心配したんだから千夏ちゃんは謝んなくていいんだよ!」

「実果子ちゃん、髪の色落ちちゃったねぇ!気に入らないならそう言やぁいいのに」

「いや、あの…」

「俺が強引にやったんだ。あの色はあんまりだろ」

「お兄ちゃんに実果子ちゃんの髪どうこう言う権利あるの?あーあ。なんか自信なくした。目標変えようっかな」

「千夏ちゃん…!」

「その方が良いかもな。これくらいのことで投げるようじゃやってけねぇぞ」

「お兄さん!」



これまで見たことのない兄妹の険悪なムードだった。



「……帰る!」



千夏は実果子をすり抜けて走り去った。



「千夏ちゃん待って!」

「ほっとけ!」



晴紀の声は聞こえたけれど、実果子は千夏のあとを追いかけた。





全速力で走る千夏に実果子が追いついたのは、およそ5キロ先の赤信号…



「千夏ちゃんて…あ…足も速いんだね…はぁ、はぁ…」

「はぁ、はぁ、もうやだ…。実果子ちゃん…犯人追っかけるみたいにっ…」



< 151 / 227 >

この作品をシェア

pagetop