からんころん
「何やってんの?おまえ」
「だっ…びっ……ったぁ…」
「は?ははは、何言ってんのか全然わかんね」
すべり台に寝ていた男は、誠也だった。
「恐かったのっ!もぉなんでこんなとこに寝てんのよ!?」
「眠かったんだよ!晴さんとこは妹が来てたから入りづらかったし…」
「だからって……、もういい。帰る」
「あ、おい…!」
「千夏ちゃんもう帰ったよ!」
「そんなんどうでもいいよ!あんた足痛いのか?」
走ったうえに腰を抜かした実果子は、足を引きずっていた。
それに気づいた誠也はどこからともなく自転車に乗ってきた。
「俺チャリだから乗れ」
「………」
「…乗んねぇのかよ?」
「………乗る」
足の痛みに耐えかねた実果子は誠也のぶっきらぼうな優しさに甘えた。
「よっしゃ!しっかり掴まってろよ」
「う…わあぁぁあ」
誠也はとばした。
こういうことに慣れない実果子は恐くて目を開けておれずに…
「着いたぞ!」
「ほっ…ありが…!?」
目を開けると街が小さく一面に広がっていた。