からんころん
その後、さゆりはそば屋も辞めていた。
「仕事辞めてまでここに来てくれてたのによぉ、あんないい娘ふるなんてどうかしてるよ!」
「…そもそも千夏とばあちゃんが仕組んだことだったんだろ!本当、さゆりさんには悪いことしたよ…」
「ばあちゃんはねぇ、本当にいいと思ったんだ。ちょうど…実果子ちゃんのヘンなウワサ聞いちまったし…」
「あんなヘンなウワサ真に受けるなんてどうかしてるよ…」
「…ごめんよ、晴紀ちゃん」
「謝るなら…実果子ちゃんに謝ってよ」
「ああ…、そうするよ」
おばあちゃんはしゅんとした。
悪いのはばあちゃんじゃない…
キツい言い方をしたのを晴紀は後悔した。
「ばあちゃん…今日はごめんね。なんか俺ピリピリしてて…」
「わかってるよ。…今度は実果子ちゃんも連れておいで」
「うん…」
色んな人をかき乱した…
なんとしてでも千夏と話さないといけない、と晴紀は実家に帰った。
「千夏、帰り遅くない?」