からんころん
晴紀は実果子を洗面所に連れて行き、実果子の髪を乾かそうとした。
「じ、自分で出来ます…!」
「遠慮すんなって。俺うまいんだよ!ずっと千夏にやらされてたから」
「そう…なんですか?…じゃお願いします」
晴紀は慣れた手つきで実果子にドライヤーをかけた。
おばあちゃんや晴紀の優しさに、実果子は泣いてしまいそうだった。
目を閉じ、涙が溢れるのを必死でこらえている。
「はいお待ちどうさま。いつものだよ」
それは、常連さんしか食べられない、具がたくさんのった特別そばだった。
「すごーい…、でもこれいくらですか?私バス代しか持ってない…」
「気にしないで食べな。俺のおごりだから。帰りも送ってくよ」
「そんな、何から何まで…」
「千夏と仲良くしてもらってるからな。俺は嬉しいんだよ」
「どっちかというと私の方ですよ。いつも助けてもらってるんです」
「あいつが人助け?信じられないな!わがままで見栄っ張りなあいつが」
「そんなこと…」
「ううん。あいつ友達つっても上辺ばかりで本当の友達なんていないんだ。でも実果子ちゃんは違う気がする」