からんころん
「…実果子ちゃんがそう思ってくれるのはありがたいけど、大事な時期だから…」
「そうですね…勉強しなきゃ…ふわ……」
大きなあくびをする実果子。
「大丈夫?疲れてんじゃない?」
「大丈夫ですよ。ふわ……ごめんなさい」
実果子はあくびが止まらない。
「着いたら起こすから寝ていいよ」
「大丈夫ですって。あーでも助かりました。ひとりで歩いて帰るのは正直恐かったから…」
「だろ?あんまり無理に千夏に合わさなくていいからな」
「無理なんかしてません…」
実果子はそう思い込んでいただけで、本当はクタクタだった。
晴紀の車の中で、安心した実果子はいつの間にか眠っていたのだった。
「千夏、帰ってたの。手は洗ったの?」
「あ、まだだった」
「ごはんは?」
「実果子ちゃんと食べたからいい」
「まぁそうなの?」
「あ、ママ。お兄ちゃんなんで来たの?」
「なんでって、別に理由なんて…。ママの手料理が恋しくなったのかしら?フフフ」
「ママ…平和だねぇ」