からんころん
千夏は晴紀の姿に気づいた。
「しつこいなもう…ああ、さとりん今夜泊めて!?」
「えー何よいきなり」
「お願い~、あれなんとかするから~…」
「本当に?絶対だかんね」
「うんっ!さとりん、こっちから行こ!ぎゃっ…」
晴紀のいない方へ行こうとした千夏だけど、振り向いた方に晴紀はいた。
「千夏、帰るぞ」
「今夜この子んちに泊まるから。パパとママにも言っといて~」
「お、おいこらっ…」
それでも千夏はうまく晴紀をすり抜けていったのだった。
「泊まるって、実果子ちゃんちに?」
「いや、別の子。塾で一緒の」
「あら珍しいわね。塾にもそんなお友達がいたのねぇ」
「…………」
母が珍しがるほど、千夏の交友関係は希薄だったのだ。
またも話が出来なかった晴紀は、千夏の部屋に入ってみた。
「何考えてんだ、おまえは………あれ?」
翌日、図書館へ向かう実果子は本を見ながら歩いていた。
それを見かけた誠也…
ードンッ
「いてっ、どこ見て歩いてんだよねーちゃん!?」
「ごっごめんなさい…!」