からんころん
「誠也、これおまえのな」
「どれどれ……まぁこんなもんか」
「だめだ。誠也もそれじゃ厳しい」
「え~…嘘だろ?なんとかしてくれよ~」
「なんとかする…ていうか、やるのはおまえらだから、俺は出来る限りのサポートはするよ」
「たぁのもし~い、晴さん!で、どうすりゃいいの?」
「とりあえずバイトはやめろ」
「…でも俺稼がねぇと」
「足りない分は俺が貸すから。実果子ちゃんもいいね?」
「…………」
実果子はさっきから上の空だった。
「…おい、実果子!」
「あ……でもなんか私自信ないな…」
「…ちょっと待っててね」
晴紀は席を立った。
「はぁ…」
実果子はすっかり肩を落としている。
ーバンッ
「あいたっ!…何すんのよ!」
誠也が、そんな実果子の背中を叩く。
「背中が曲がってるぞ。らしくない…」
「いったいなぁ…もう…」
「実果子ちゃん、これ昨日言った渡したいもの」
晴紀がおもむろに持ってきたのは…
「……あれ?これ…!」
それは、実果子のすられた財布と前のケータイだった。
「これ、どうしたんですか!?」