からんころん
晴紀に電話だった。
「…あんなやつかばうことねぇのに」
「べつに…かばったわけじゃ……」
晴紀が血相を変えて戻ってきた。
「ごめん、俺ちょっと家に帰ってくる。またあとで話そう。待ってて」
慌てて出ていった。
「…何かあったのかな?」
「あったんだろ、あの様子は…」
谷塚家で事件が起きていた。
晴紀は飛んで帰った。
「封筒に入れてここに置いといたのよ!今朝お隣に回覧版持っていったちょっとの隙にやられちゃったんだわ!」
「で、いくら入ってたの?」
「20万…」
「そんなに…。警察には?」
「まだ…。気が動転してもうどうしていいかわからなくて…お父さんは出かけてるし、とにかくあなたに連絡したのよ、ああ…どうしたら…あ~…」
「母さん、落ち着いて。もうちょっと探してみよう。他の所に置いたの母さん勘違いしてるかもしれないし」
「失礼ね。絶対ここに置いたのよ!ああもう!!明日振り込まないといけないのにっ」
「わかったから!物投げないで!」
母は完全にパニックになって、部屋も散乱している。
「ただいまー…うわっ、何これ!?」
千夏が帰ってきた。