からんころん
「千夏ぅ~、大変なのよ~、泥棒が入ったの!」
「え…泥棒が」
「そうなのよ~!封筒に入れてね、ここにねー…」
何かあるといつも騒ぐ千夏が、興奮している母に対して冷静だったのが、晴紀は引っかかった。
「千夏ちょっと」
「何よっ…!」
晴紀は千夏を部屋へ引っ張り込んだ。
「おまえ、何か知ってるんじゃないのか?」
「は?まさか私を疑ってるの!?もう最っ低!!」
晴紀は、太ももをぽんぽん叩いている千夏の手をとる。
「…っ!」
「俺には本当のこと言え」
「私は、盗ってません!」
千夏はハッキリとした口調でそう言い、晴紀の手を振り払おうとする。
が、晴紀はガッチリ掴んで離さなかった。
「俺はおまえが盗ったなんて言ってない」
「もう何!?そういう意味なんじゃないの!?離してよっ!」
千夏がいくらブンブン振り払っても、晴紀は離さなかった。
「もう!!…お兄ちゃんがいけないんだから!!お兄ちゃんがしつこく追っかけてくるから宿泊代に使ったの!!」
「え!?20万も一体どこに泊まったんだよ!?」
「どこだっていいでしょ!」
「よくない!おまえ一体どうしちゃったんだよ!?」