からんころん
封筒を手に取り中身を慌てて確認する母。眩しそうに目を細め…
「あ~これよ、これ!よかったぁ、ありがとう晴紀!」
「よかったねママ!警察に連絡する前に見つかって!」
「人騒がせな母さんだ。さ、続きを食べよう。千夏、ビール出してくれ」
「はーい」
「おかしいわねぇ。ここも探したのに…」
「つ、疲れてんだよ母さん!もう安心して食べよう!俺も腹減った」
白々しく演技をしていた千夏は、あとから晴紀に詫びた。
「…おまえのためじゃない。こんな大事な時期に親に余計な心配させたくなかったからやったんだ」
「わかってるよぅ…」
「金は返してもらえよ。おまえが言わないなら俺が返してもらいに行く」
「返すよ!返せばいいんでしょ!」
逆ギレっぽくなって立ち去ろうとする千夏。晴紀は千夏の腕を掴み引き止める。
「まだ話は終わっていない!」
実果子と誠也は、テストの見直しをしながら晴紀の帰りを待っている。
「…お兄さん遅いね」
「ああ…」
「なんか…すごい大変なことだったのかな…?」
「人の心配より自分の心配しろ。また何されっかわかんねえぞ。あの妹に」