からんころん
「おぅねーちゃん。ここは俺らの城だ。通るなら金払わねえとなぁ」
不良集団が実果子にからんできた。
「そんなの払いません!いつも通ってるんだから…」
「いつも通ってんの?じゃあツケの分も払ってよ」
「払いません!」
実果子は構わず通ろうとする。
「払わねえならこっち来いっ!」
「やっ…」
実果子は腕を掴まれ引っ張られた。
「なんだてめぇ!?」
「お兄…」
寸前に、実果子の腕を引っ張ったのは晴紀だった。
あれから走って追ってきたのだ。
「おまえら誰の指示でこの人脅したんだ!?」
晴紀が叫ぶ。
不良集団はキョトンとして
「何言ってんのこいつ?」
「アタマおかしいんじゃねぇの?」
「はっはっはっはっはっ」
集団がバカ笑いをしてる間に…
「…実果子ちゃん、ダッシュするぞ」
「え!?」
逃げた。
「おいっ!金ーーーーー!!」
晴紀は、また千夏が仕掛けたことなんじゃないかと疑った。
「はぁ、はぁ……大丈夫?実果子ちゃん…」
「は…はい…」
「よかったー、追ってきて…。むちゃ…すんなよな…」