からんころん
実果子は心配はしていたけど、とくに疑問には思っていない。
千夏はみんなに好かれているから…
だけど…1人だけ少し違った。
この日も実果子はクラスメイトに嫌なことを言われたりされたりした。
千夏は実果子をかばう。
千夏には誰も嫌なことなど何も言わない。
でも1人だけ…
千夏がお手洗いから1人で出てくる時だった。
「おめぇいい子ぶりっこしてんじゃねぇぞ」
一言そうつぶやいて通り過ぎて行ったのは…
誠也だった。
そんなことがあったなんて、千夏は誰にも言わなかった。
一度きりだったし…
あまり深く考えていなかった。
梅雨も明け、学校はもうすぐ夏休み。塾では希望者に強化合宿というものがある。
「実果子ちゃん、行くよね!」
「う………」
2人が合宿のことを話していると、実果子はクラスメイトの殺気を感じた。
ーーおまえは来るな
実果子にはそう聞こえた。