からんころん
「すみません…」
実果子は少し自暴自棄になっていて、不良にからまれても突っ込んで行こうとしたのだ。
「ふっ…はは、だめだな俺も」
「…え?」
「真っ先に妹疑うなんてさ…。今夜話してきたのに…」
「…………」
「…実果子ちゃん?」
「え?」
「…何かあった?誠也もなんか…様子おかしかったけど」
「い…いえ…。千夏ちゃんと、何話したんですか?」
「実果子ちゃんに嫌がらせするなって言っといた」
「なんでそんなこと…、大丈夫ですか!?千夏ちゃん」
「え…?」
「……誠也くんが」
冷たい雨が降り出して、2人は近くにあった居酒屋に駆け込んだ。
「そういえば、前もなんかそんなようなこと言ってたな。千夏は病んでる…とか」
「ったく、えらそーにわかったように言うんですよ~、あいつ!」
気晴らしで飲んだ、初めてのお酒で実果子は酔っていた。
「実果子ちゃん…、もうそれくらいに…」
「なぁに、まだ何も飲んでないっすよ。さ、お兄さんもどうぞどうぞ」
「あ、ありがとう…」
ちょっとのつもりが、実果子は泥酔するまで飲んでしまった。