からんころん
亀裂
「すみませんでした…!」
店の大将がやってきて、2人して謝罪…
「いや、こういうお客さんは稀にいるんだ。気にすんな」
「毛布まで掛けていただいて…」
「はっはっはっ、それにしてもすごい酔ってたねぇ、おねーちゃん」
「え!?…全然覚えてないな…、どうなってたんですか!?」
「ふふん、ひーみーつ!」
大将は面白がっていた。
実果子は恥ずかしくてしょうがなかった。
「やだぁ、もう…。私がお酒につぶれるなんて…」
「俺はかすかに覚えてるよ。実果子ちゃんの泥酔っぷり」
「えっ、何かヘンなこと言ってました!?」
「ふっふっふーん」
「…お兄さんまでなんですか!?その笑い…」
「はっ会社!大遅刻だっ…!」
「ちょっ…お兄さーん!」
「またね~、実果子ちゃん」
晴紀はひとり、先を急いでいった。
実果子はこの日、二日酔いと自己嫌悪で寝込んでしまった。
ケータイは握りしめて…
いつものように千夏が学校帰りにまたかけてくるんじゃないかと…