からんころん
「…やっぱりこないか」
千夏の、何かの企みやまやかしであったとしても、実果子は千夏が声をかけてくれることが嬉しかった。
ープルルル…
横になったまま、実果子から千夏に電話をかけた。
ー…ピッ
千夏は出なかった。
「お兄さんが余計なこと言うからぁ…」
呼び出しはなかったけれど、いつもの時間に実果子は千夏の学校まで行き、門で千夏が出てくるのを待つことに。
「あ…千夏ちゃん!」
千夏はすぐに出てきたけれど…実果子の前をすっと通り過ぎていった。
「…………」
それでも…実果子はめげずに千夏を追いかけ声をかけた。
「ねー千夏ちゃん、今日は何飲む?寒いからあったかいのがいいねっ?」
「…………」
「…あ、千夏ちゃん手冷たくない?手袋貸そうか?」
差し出す手袋もむなしく千夏は無反応。
「…千夏ちゃん!」
「…るさいな、帰って勉強でもしたら?また落っこちて私のせいにされたらたまんないっ」
その言葉に実果子の足は止まった。
「そんな…そんなこと私思わないよ!千夏ちゃん!」
「おいっ」
実果子は後ろから誰かに腕を掴まれた。