からんころん
「え?」
「むしろ笑ってたぞ」
「…………」
「……またか」
「ごめん!そんなんじゃない!私何か勘違いしてたかも!じゃ…」
誠也は急に実果子の手を取り走り出す。
「な…何!?」
「あとつけてやろうぜ」
「ええ!?」
そんな汚いまねはしたくない…と思った実果子だけど、ここは黙って誠也に身を委ねた。
「ここら辺であいつ仲間らしきやつらと騒いでたんだ…あ、ほらまだいた!」
誠也の言うとおり、さっき実果子に見せた顔はどこにもなく、笑ってた。
他人の空似の別人なんじゃないかと実果子は疑うくらいだった。
「あれは……私に傷つけられて、学校の友達と気晴らししてるんだよ!きっとそう」
「そんなすぐ切り替えられるか?」
「やめて!」
「な…?」
「これ以上私、千夏ちゃん疑いたくない…」
「あ、動くぞ。…なんだあれ?」
千夏は一緒にいた人たちに深々と頭を下げていた。
「親しい仲間にああいうことするか…?」
「…………」
「…とにかく行こう。何かありそうだ」
千夏を追うため2人も動きだす。
「…やっぱりやめよう、こんなこと」