からんころん
「わ…私は行かない。昼間はバイトがあるからね」
実果子がそう言うと、みんなは笑みを浮かべた。
でも
「え~つまんないなぁ…。じゃあいつか暇な時にどっか遊びに行こうか!」
「…そうだね」
2人が仲良さげなのがおもしろくなかった。
そしてこの日を境にいじめはエスカレートした。
ある日、教室にタバコの臭いが充満していた。
「なんだこの臭いは?タバコじゃないのか?誰だ教室で吸ったやつは!?」
塾で一番気の荒い講師が怒鳴っている。
「せんせー、うちら未成年っすよ。吸うわけないじゃないですか」
「あーでも!ひとり成人がいるよ!」
みんなが一斉に実果子を見た。
「原口!おまえが吸ったのか!?」
「吸ってません!私タバコなんて吸えません」
「じゃあ誰が吸ったんだ!?」
「先生!僕たちはカードを持てないんですよ。買えないんですよ!」
講師は実果子に近づく。
「クンクン…、ここらへんが強く臭うな。やっぱりおまえなんじゃないか?」