からんころん
約束
年も押し迫った頃、
「実果子、ちょっとくらい外の空気吸ってきたら?」
「…この極寒に?やだよ…」
「買い物してきてほしいのよ!お母さん今日ギックリして腰が痛くて歩けないのよ~」
「もう……わかったよ。何買うの?」
「そうねぇ…油がもうなかったわ。お願いね!」
「……歩けてるじゃん」
実果子は渋々外へ出た。
「ううっ…さぶい~…」
「よぅ雪女」
「ぎゃあっ…」
門を出たところで、いきなり実果子の前に誠也が飛び出てきた。
実果子は腰を抜かした。
「ほら、引きこもってるから足腰弱くなったんだろ!」
「違…あんたがいきなり飛び出してくるからぁっ…!」
「まぁいいや。行くぞ」
「え?私今から買い物……」
ここで実果子は母にハメられたことに気づいた。
「私…行かない!」
家の中へ戻ろうとすると、母が出てきて玄関の鍵を閉めた。
「実果子、今おばあちゃんから電話あったからお母さんちょっと行ってくるね」
「え!?あ、ちょっと!鍵…」
母は聞く耳を持たず、そそくさ出かけていった。