からんころん
「こりゃもう行くっきゃないな。それとも庭で凍えるか?」
「もう…。ていうか…どこに行くのよ?」
「前約束しただろ」
「…?」
何のことだか実果子はさっぱり覚えていなかった。
家にも入れないし…実果子は仕方なく誠也のあとをついていった。
着いた先は、かからん山だ。
「お、もうぽつぽつついてんな」
「…そうだったね。夜景見ようって言ってたね…」
「…暗いなぁ!もっとさぁ『素敵!綺麗!感動した!!』とかねぇの?」
「まだぽつぽつじゃん」
「…まぁそうだけど」
けれどあっという間に日は沈み、一面に澄んだ夜景が広がった。
「…おまえなんでかてきょに来ねぇの?」
「……………」
「…家に行っても出てこねぇし、そんなんおめぇらしくねぇぞ!」
「私らしいって…何?」
「…自分に聞け!」
「……………」
「晴さん、おめぇ来ねぇから心配してたぞ」
「私…はもう姿現さない方がいいかなって…」
「なんだそれ?…妹か?」
「千夏ちゃん変わった…。出会った頃はキラキラしてたけど…私がちょろつくようになって…私が千夏ちゃんの輝きを失わせたのかもしれない」
「はっはっはっはっはっ!」