からんころん
誠也は真正面から実果子の顔を覗き込む。実果子は恥ずかしくなって、そらす。
「なによ…笑うわよ!誠也くんの…顔がヘンだから!」
「ひっでぇ、俺イケメンだってよく言われるぞ!」
「はっはっはっはっはっはっ」
「あ、信じてないな!?もういいっ」
誠也はすねて、黙ってしまった。
「…誠也くん?」
「……………」
「ねぇってば!」
「……………」
「…冗談だったのに。…ねぇ誠也くん!」
「諦めんなよな。今まで頑張ってきたんだし…」
「……………」
「…俺、あんたのおかげでまたやってやろうって思ったんだ」
「え…?」
「あんたの…往生際の悪さを見習って」
「…なによ、それ」
「俺は…やってやる」
「……………」
実果子はあれからというもの、すっかり気力を無くし、何の何にもしていなかった。
これで今更…
と本当は諦めていた。
年が明け、あっという間に試験の日がやってきた。
「晴さん!俺頑張るから、元気だせよ!」
「ああ…」
あれからも実果子は、とうとう姿を現さなかった。