からんころん
決戦
「…もぉ~、晴さん!」
「ああ、ごめん…元気出すから…」
「ったくどいつもこいつも晴さんに心配かけやがって…」
晴紀は、すっかり抜け殻のようになっていた。
「…来るんじゃね?」
「え?」
「実果子は。来ると思う」
「……だな。…じゃ、頑張れよ」
更に時は経ち、あっという間に合格発表の日がやってきた。
晴紀は、発表を見に行った誠也からの電話を今か今かと待っていた。
ーリリリリリ…
「きた…」
晴紀は緊張してケータイを持つ手がかすかに震えていた。
「誠也?…どうだった!?」
『晴さん、俺…』
電話口の誠也の声は、か細かった。
晴紀は覚悟した。
『俺…受かっちゃった』
「大丈夫だよ、誠也……え!?」
晴紀はあまりの緊張で、始め誠也が言っていることがよくわからなかくて思わず慰めようとしたけど…
『はははっ、やった、やったよ晴さん!』
誠也は急に元気な声に戻った。
「なん…だよかった…、よかったな誠也!よく頑張った!」
『…まぁ家庭教師が良かったからな!晴さんのおかげだよ』
照れくさそうに誠也は言う。