からんころん
一方、晴紀は…泣いていた。
『…晴さん?』
「え?…いや、なんでもない、今夜はお祝いしないとな!」
『マジ?やった。でも俺その前に…』
「ん?」
『…家に帰ってみる。親…の腰、抜けさせてくる』
「え?おいおい。そっか。きっと喜ぶんじゃないかな」
『べつに、喜ばなくてもいいんだよ!』
「ははは。じゃあ今夜は無理か…」
『何言ってんだよ、あんな家ちっとも居たくねぇ。腰抜けさせたらすぐ戻ってくるからお祝い、よろしく!』
「わかったよ!じゃ場所とかまたあとで…」
『あーー!!ぅわぁっ…』
「え?…誠也?…どうした?……誠也!?…おいっ!?」
誠也はいきなり叫び、何かものすごい音がし、そのあとはもう電話は切れていた。
…何かあったんじゃないかと、晴紀は心配になり、まだ勤務中だったにもかかわらずすっ飛んでいった。
大学の、発表掲示板の前に真っ黒い車がものすごい勢いで到着。
そしてすぐさま晴紀は車からおりて辺りを見回す。
群集は若干引いていたが、晴紀はそんなのを気にしているどころではなかった。
…誠也の姿は見あたらない。